18 KAWASHIN DISCLOSURE■事業の展望及び課題 わが国経済は、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、飲食業や観光業を中心に、幅広い業種で厳しい状況が続いています。足元では、ワクチン接種の普及により幾分持ち直しの動きもみられますが、変異株の世界的な感染拡大や半導体など部品供給制約による納期の遅れ、円安による資源価格や原材料費の上昇によるコストの増加は、販売価格への転嫁が容易でない中小・零細企業者の収益に影響を与え、業況の悪化が懸念されています。また、コロナ禍はテレワークやオンライン会議の導入、キャッシュレス決済の普及、非対面・非接触のサービスの広がりといった新しい生活様式への移行をもたらしており、社会やビジネスモデル自体に大きな変化を引き起こしました。他方、地域経済の根底には、産業の空洞化、少子高齢化、人口の減少、更には経営者の高齢化や後継者難、慢性的な人手不足といった構造的な問題も深刻化しております。 こうした中、当金庫を取り巻く経営環境は、地域の人口減少や中小企業数の減少に伴い事業基盤が縮小傾向にあり、加えて、昨今のコロナ禍の影響による地域経済の停滞、日本銀行の長引く超低金利政策、ウクライナ情勢悪化による地政学リスクの高まりなどにより、預貸金利鞘や有価証券運用益を中心とした利益の確保が一段と難しくなるなど、年々厳しさが増しております。 令和4年度は、コロナ禍によって苦境に陥っている地域経済を支えるべく、資金繰り支援はもとよりポストコロナの時代を生き抜くための事業承継、事業再構築、販路開拓支援、収益力改善などに関する取引先の課題解決に全力で取り組んでまいります。そのほか、多様化する顧客ニーズの変化に合わせたサービスの検討や推進、デジタル化への対応、近年の金融犯罪の高度化に対してのマネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策やサイバーセキュリティ対応の一層の強化など、取り組むべき課題は多岐にわたっており、業務の効率化や収益力の強化など金庫の経営力を高め、それらを着実に実行していく所存であります。 また、当金庫の強みは「地縁」「人縁」を最大限に活かした営業であり、「素早い決定」「素早い対応」「手作りの心のこもったサービス」で地域の隅々まで根を下ろし、そして、地域の皆様が抱える課題に真摯に向き合い、役職員が一丸となり、強い気持ちで計画を達成していく所存であります。また、 “身近さ”“親しみやすさ”といった特性を活かし、安心して頼れる金融機関として中小企業や個人そして地域に対する支援を強化するとともに、それを支える経営力や人材力の強化に取り組み、地域金融機関としての強固な経営基盤(顧客基盤、財務基盤、人材基盤)を確立してまいります。令和4年度信用金庫業界の重要施策❶地域課題解決のための経営基盤の強化❹経営管理態勢の充実・強化❷社会の変革を踏まえた支援力の強化❺積極的な広報と人材の確保❸高齢化社会におけるサービスの多様化事業の概要
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